指定管理者制度と図書館
図書館の指定管理者制度導入について、区の計画は中央図書館をセンター機能を有する施設として直営として残し、9館を指定管理者に委ねるというもので、今議案は内3館に指定管理者制度を導入することとについての可否を問うものです。
図書館は、区民にとって知的財産の要をなしています。図書館の管理運営とはこの知的財産の維持、発展抜きにはありえません。区の他の施設と比較して高度の公共性をもっている所以です。故に図書館法があり、指定管理者制度の適用から除外されてきたものです。全国でわずかに図書館に指定管理者制度が導入されていますが、その理由は政府が合理的説明抜きに可能だという見解を出したことをもって、可能だというにすぎません。理由なき指定管理者制度の導入強行は、図書館法の理念を乱暴に踏みにじるものです。板橋区が図書館に指定管理者制度を導入するというなら、図書館法の理念にてらして区民の知的財産の管理運営を営利第一の民間企業に任せることの是非が検証されなければなりません。しかし、この条例改正案はこうした図書館の根本にかかわる検証がいっさいなされず提案されたものです。
区は開館日や開館時間の拡大、インターネット閲覧サービス、司書率の向上、特色ある資料収集などを理由にあげていますが、それは全国の実例が示すように直営でも可能であり、導入の根拠にはなりえません。どのような団体・企業の指定管理者であれ、区民の基本的権利を公的に保障する直営よりも、企業が図書館法にもとづく図書館設置の目的を効果的に達成できることを客観的に示す根拠も実例もいっさいありません。
それでは図書館に指定管理者制度を強行導入した場合、どのようなことになるのか。
第一に、図書館の継続性、安定性、蓄積性を守ることができるかという問題です。区は中央図書館による最終決定を担保することで、「継続性、安定性、蓄積性」を失うことはないとしています。しかし、継続性、安定性、蓄積性は公共サービスの現場で働く人、民間の管理運営の組織内に蓄積していることが重要です。中央図書館のセンター機能なるものが全て代替できるわけではありません。また経費節減により、図書館で働く人々の一層の低賃金化と不安定雇用の拡大が進み、管理運営の脆弱化は避けられません。さらに指定管理者が変更になった場合を想定すると、継続性、安定性、蓄積性の課題は振り出しに戻ることになり、図書館にとって最も重視されるこれらの課題を達成することができない根本的矛盾を抱え込むことになります。
また今後、残りの指定管理者の選定では、別の企業になる可能性があります。図書館サービスの発展には図書館間の連携・協力やネットワークが不可欠です。しかし、競争関係にある民間企業間でこのことを効果的に達成することは、たとえ業務を限定したとしても限られたものになりかねません。「民間のノウハウを生かした事業」を異なる企業が行うことはまた、区民がどの図書館でも同様のサービスを受けられない可能性が生まれることにもつながります。
第二に、学校との関係で言えば、図書館は地教行法第30条により教育機関として位置づけられており、地域資料の発掘・収集、普及活動は図書館の重要な役割です。総じて「特色ある資料収集」とはこうした活動の基礎に築かれるものであって、住民要望や教育的見地から位置づけられなければなりません。指定管理者によるサービスメニューに矮小化されるべきではありません。
第三に、情報管理の問題では不透明化は避けられません。指定管理者となった民間企業自身が図書利用の個人情報を管理することになるため、その情報の間接的利用があったとしても実態を把握することはできません。この他にも職員が優先的に自分の好きな本を借り出していた例もあり、モラル意識に還元できない要因を抱え込むことになります。
第四に、図書館法第17条の無料原則として文部科学省は「いかなる対価の徴収をも禁じて」います。それ故、企業は図書館管理運営で経済的利益を期待できません。そうであればサービス拡大への積極的原理は働かないことは明らかです。しかし、資本の論理はこれに甘んじることはありません。現実にはこれも踏みにじられ、当初のサービス内容は現在のサービスを踏襲しても、やがて延滞料などの費用負担や「新しいサービス」の対価を求めるなど、権利としての公共性が希薄になっていきます。そうでなければ、硬直した管理運営になるしかありません。
これからの図書館がどうあるべきかは、すでに様々に見解が各方面から提言されています。調べる文化の発展とともに、いじめなどの悩みを相談する窓口や高齢者、障害者の関わりの発展など、これまでの図書館業務に限定されず、生活に密着した多様性が求める声も広がっていきます。これらは利潤追求を第一義的とする民間企業には到底達成できない領域なのであって、短期的な経費削減に目を奪われれば、図書館事業そのものの発展さえ阻害するという結果を導き出しかねません。図書館とは何か。それは過去と未来をつなぐ人類共通の財産であり、企業の営利を超え、人類が今日勝ち取った基本的人権と思想・知識を次の世代に伝えるものでもあります。トップダウンで進めることをせず、民間まかせにすることなく、区自ら責任をもって区民とともに図書館を考える姿勢こそ、図書館の豊かな未来を展望するのです。
図書館は、区民にとって知的財産の要をなしています。図書館の管理運営とはこの知的財産の維持、発展抜きにはありえません。区の他の施設と比較して高度の公共性をもっている所以です。故に図書館法があり、指定管理者制度の適用から除外されてきたものです。全国でわずかに図書館に指定管理者制度が導入されていますが、その理由は政府が合理的説明抜きに可能だという見解を出したことをもって、可能だというにすぎません。理由なき指定管理者制度の導入強行は、図書館法の理念を乱暴に踏みにじるものです。板橋区が図書館に指定管理者制度を導入するというなら、図書館法の理念にてらして区民の知的財産の管理運営を営利第一の民間企業に任せることの是非が検証されなければなりません。しかし、この条例改正案はこうした図書館の根本にかかわる検証がいっさいなされず提案されたものです。
区は開館日や開館時間の拡大、インターネット閲覧サービス、司書率の向上、特色ある資料収集などを理由にあげていますが、それは全国の実例が示すように直営でも可能であり、導入の根拠にはなりえません。どのような団体・企業の指定管理者であれ、区民の基本的権利を公的に保障する直営よりも、企業が図書館法にもとづく図書館設置の目的を効果的に達成できることを客観的に示す根拠も実例もいっさいありません。
それでは図書館に指定管理者制度を強行導入した場合、どのようなことになるのか。
第一に、図書館の継続性、安定性、蓄積性を守ることができるかという問題です。区は中央図書館による最終決定を担保することで、「継続性、安定性、蓄積性」を失うことはないとしています。しかし、継続性、安定性、蓄積性は公共サービスの現場で働く人、民間の管理運営の組織内に蓄積していることが重要です。中央図書館のセンター機能なるものが全て代替できるわけではありません。また経費節減により、図書館で働く人々の一層の低賃金化と不安定雇用の拡大が進み、管理運営の脆弱化は避けられません。さらに指定管理者が変更になった場合を想定すると、継続性、安定性、蓄積性の課題は振り出しに戻ることになり、図書館にとって最も重視されるこれらの課題を達成することができない根本的矛盾を抱え込むことになります。
また今後、残りの指定管理者の選定では、別の企業になる可能性があります。図書館サービスの発展には図書館間の連携・協力やネットワークが不可欠です。しかし、競争関係にある民間企業間でこのことを効果的に達成することは、たとえ業務を限定したとしても限られたものになりかねません。「民間のノウハウを生かした事業」を異なる企業が行うことはまた、区民がどの図書館でも同様のサービスを受けられない可能性が生まれることにもつながります。
第二に、学校との関係で言えば、図書館は地教行法第30条により教育機関として位置づけられており、地域資料の発掘・収集、普及活動は図書館の重要な役割です。総じて「特色ある資料収集」とはこうした活動の基礎に築かれるものであって、住民要望や教育的見地から位置づけられなければなりません。指定管理者によるサービスメニューに矮小化されるべきではありません。
第三に、情報管理の問題では不透明化は避けられません。指定管理者となった民間企業自身が図書利用の個人情報を管理することになるため、その情報の間接的利用があったとしても実態を把握することはできません。この他にも職員が優先的に自分の好きな本を借り出していた例もあり、モラル意識に還元できない要因を抱え込むことになります。
第四に、図書館法第17条の無料原則として文部科学省は「いかなる対価の徴収をも禁じて」います。それ故、企業は図書館管理運営で経済的利益を期待できません。そうであればサービス拡大への積極的原理は働かないことは明らかです。しかし、資本の論理はこれに甘んじることはありません。現実にはこれも踏みにじられ、当初のサービス内容は現在のサービスを踏襲しても、やがて延滞料などの費用負担や「新しいサービス」の対価を求めるなど、権利としての公共性が希薄になっていきます。そうでなければ、硬直した管理運営になるしかありません。
これからの図書館がどうあるべきかは、すでに様々に見解が各方面から提言されています。調べる文化の発展とともに、いじめなどの悩みを相談する窓口や高齢者、障害者の関わりの発展など、これまでの図書館業務に限定されず、生活に密着した多様性が求める声も広がっていきます。これらは利潤追求を第一義的とする民間企業には到底達成できない領域なのであって、短期的な経費削減に目を奪われれば、図書館事業そのものの発展さえ阻害するという結果を導き出しかねません。図書館とは何か。それは過去と未来をつなぐ人類共通の財産であり、企業の営利を超え、人類が今日勝ち取った基本的人権と思想・知識を次の世代に伝えるものでもあります。トップダウンで進めることをせず、民間まかせにすることなく、区自ら責任をもって区民とともに図書館を考える姿勢こそ、図書館の豊かな未来を展望するのです。
by otajcpitabashi | 2007-06-20 18:22 | 板橋区の政治


